『花火』



「今度、花火大会一緒に行こう」

人込みはあまり好きじゃないけど、

あいつとなら一緒に行ってもいいって思う。

隅田川の花火大会ってさ、一度でいいから行ってみたいんだよ ね。

あいつの方が意外な場所から見える場所知ってそうだし。

お互いに忙しいから、なかなか逢う事が出来ないし。

ここ最近は近況をメールで連絡し合うぐらい。

ああ〜、久しぶりに逢ってギュッてしたーい…。

そんなことを思いながらラジオの収録を進めていく。

『お疲れ様でした〜』

収録が終わって、みんな一斉に散らばる。

これから飲む人もいれば帰る人もいるし。

あ、俺は帰ってゲームするけどね。

時間を見る為に携帯に手を延ばすと、着 信ランプが光っている。

「あ、メール」

画面を見ると、智一の文字。

(「お久しぶりです〜(^O^)元気してますか?僕は相変わらず忙しいです。この前…」)

相変わらずだなぁ忙しそうだなぁ・・・。

メールに目を通しながら、智一にメールを返信する。

(「お疲れ〜(^^)相変わらず忙しそうだね…」)

お互いにメール送信で会話。

これでも嬉しいんだけど、やっぱり逢って話したいな〜。

「〜♪〜♪〜」 マナーモードにしていた携帯が鳴る。

しばらくメールでの会話が続く。

こうやってメールでも繋がっている時間はとても楽しい。

(「じゃあ、今度花火見に行きましょうよ…」)

(でも、もう終わってるんじゃない?)

(来年の予定、明けておいて下さいよ?とっておきの場所教えますから)

(って来年かい。)

まあ、今年はもう花火大会なんてやってる場所もう少ないけど。 場所も遠いし。

「〜♪〜♪〜」

また携帯が鳴る。画面の文字は『智一』

俺は慌てて智一の電話に出る。

「もしもし」

「あ、子安さん?智一です。メールで続けるよりも電話で話した方が早いと思いましたので変えましたvv」

いつもメールのやりとりが多い中でこうやって、電話で会話をするのはとっても久しぶりになる。正直、メールだけで会話を続けているより、はるかに直接電話をした方が早い。

「お〜、それでそれでっ?何?」

「あの・・・今日遊びに行ってもいい?ですか?」

突然の電話と遊びに来ていい?って何かあったのか?

じゃなくてもさ、逢えるから俺は嬉しいけど。

「ああ、いいよ。俺もお前と話したいし、それに・・・」

「?」

「な、何でもないよ。じゃあ待ってるから」

あー・・・危ない。うっかりここで云うトコだった。





〜そのAへ続く〜











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