雪が街を白く染めて行く中、立ち止まって周りを見ていた。
急いで家路に帰る人や、待ち合わせをする人。
皆、それぞれ大切な人の元へと急ぎ歩いてる。
「・・・・・。」
もう何時間こうやって僕は待ち続けている。
子安さんと最初に約束した時間からは程遠い。もう少しで10時になろうとしている。
[最近、子安さんも僕も仕事が忙しいけど・・・。」
今年は僕と子安さんがつきあい初めてのクリスマス。
一緒にクリスマスツリーを見に行こうと誘ってみようと思っている。
この前の仕事時、打ち上げの後、他の共演者に誘われて見に行ったクリスマスツリー。
その時はとっくにショーの時間は終わっていたので見る事は出来なかったけど。
好きな人と見れたら嬉しいかなと思った僕は子安さんを誘って見たくなった訳で・・・。
数日後、僕は久しぶりに子安さんとの仕事。僕は思い切って誘ってみた。
「もしかしたら時間までに間に合わないかもしれないよ?その日仕事入ってるし・・」
「それでもいいから・・・見に行きませんか?」
待ち合わせた場所にはカップルや親子連れの姿が次第に多くなり始める。
今日ラストのショーの時間まであと10分弱。
やきもきしながら僕は子安さんを待ち続ける。
大丈夫・・・子安さんは必ず時間までに来てくれる。
約束したんだから一緒に見るって。
「間に合って・・・子安さん」
仕事を終わらせた俺は、急いで智一の元へと車を飛ばしていた。
待ち合わせた時間から程遠くなってしまった。
それでもラストのショーの時間までに何とか間に合わせようと車を走らせる。
だけど雪とクリスマスという事で道路は渋滞して車が思う様に動かない。
進んだかと思えばまた止まる。首都高速は雪の所為で通行止め。
時間までに辿り着けるかギリギリの所だ。
「あと少しで約束の『場所』だというのに何でこんな混んでるんだよ〜」
思わぬ天気とクリスマスという事で道路は大渋滞。
普段なら空いてる周辺の道も当然混んでいる。
開始時刻は22時。このままだと当然間に合わない。
「ドコかに車を停める場所はないのかよ?」
周りを見渡すと丁度1台だけ停められそうな場所がある。
「やった、上手い具合に開いてるvv」
その場所に急いで車を停めると俺は智一が待つ場所へと走りだした。
停めた場所から走っても間に合うか分からない。
ここからだと少し距離がある。だけど智一がずっと俺を待ってくれている。
早く行かなくては・・・。彼をもう何時間も待たせているのだから。
チラッと時計を見ると、時刻は10時。
今日のラストショーの時間だ。
時間と共にショーが始まりだす。
「あ・・・」
光と共にパイプオルガンの音にあわせてイルミネーションが変化する。
やっぱり間に合わなかったかぁ・・・。
そうだよね。忙しいって言ってたんだし。
時間が無い中で誘ったんだから、間に合わなかったら仕方ない。
でも、やっぱり一緒に見たいなって思ったから、駄目元で誘ってみた。
つきあいはじめて、1年は経つけど。
この時期はお互いにイベントなどが多く、忙しくて。
なかなか時間の取れない事が多い。そんな中でもこうやって時間を何とか作ってデートを楽しみたかった。
待ち合わせをして、食事をして、買物をして、そして…。
だけど・・・。
半ば半分諦めていた時、携帯が鳴った。
ディスプレイには子安さんの文字。僕は急いで通話ボタンを押して電話に出る。
「もしもし?」
「今、どの辺りにいる?」
「え?今ツリーの前にいます」
「じゃあ、ソコから動くなよ!そっちに行くから」
本当にゴメン!!間に合わなくて」
謝る子安さんを見ているともう僕も流石に何も言えなかった。
「そ、そんなに謝まらなくても…」
「これでも急いだんだけど、思う様に進まないし、仕事が終わったのが結構ギリでさ。
でも、待ってると思ったから時間内までに着く様に頑張ったんだけど、結局・・・」
どんなプレゼントよりも僕との約束を守ってくれた事が何よりも嬉しかった。
来てくれた事が何より、僕にとっての最高のクリスマスプレゼントになったから。どんなプレゼントよりも、一番嬉しい。
「子安さん」
「ん?」
「あの・・・ありがとうございます。忙しいのに。」
「何言ってんだよ?今日は大事な日だろ?でも、今度はゆっくり時間取って来よう。」
〜いいわけ〜
・・・書き直したら甘くなくなった。(:;)
書いてるときはラブラブ全開、砂吐くぐらいにしたくて書いたのです。
でも途中から砂吐いてるのか分からなく気付いたら単なる…orz(^q^;)
ココまで読んで下さり、ありがとうございました。
もっと精進してきます。